木曽御嶽山

いつも遠くの山から見えている御嶽山。今回はそんな御嶽山からアルプスの山々を眺めてみたかった。道中で車から見る山頂には雲がかかっていない。どうしても晴れている頂に立ちたいが、登山開始は予定通りの8時。あとは自分の足で稼ぐしかない。9時頃、中腹から見た山頂はまだ晴れているが、早く上がって来いと言わんばかりに雲が湧き始めて急かされる。10 時頃、五の池小屋にたどり着くも、目当ての景色には間に合わなかったので、今回は池巡りを楽しむことにした。

四の池方面に歩き始め、辺りは濃いガスに包まれて道の先も見えなくなったころ、やたらと大きな鈴のような音が聞こえてきた。修行僧でもいるのかと思いながらしばらく歩くと、熊鈴やらコップやらをいろいろと身に着けた単独登山者に追いついた。さながら山伏修行のように派手な音をしばらく聞かされ続けた。歩くつもりはなかった三の池方面に遠回りしたのは、彼の修行の邪魔をしたくなかったから。

上空のわずかな晴れ間から差し込む光でエメラルドグリーンに輝く池に見惚れながら歩き、池のほとりで休憩をしていると、聞き覚えのある音と共に、分岐で別れたはずの彼が現れた。彼は道に迷っているようで、とてつもなくおおざっぱな地図を片手に道を尋ねてきた。方向を教えると彼は真っ白なガスの中に消えていったが、鈴の音だけはしばらく聞こえていた。

賽の河原を越え、二ノ池小屋に着くと、目の前には砂浜のような不思議な空間が広がっていた。元は水のあった池が噴火の影響で砂に埋もれてしまったらしい。二の池小屋以降は、ロープウェイも近いせいか、登山者の数が急に多くなった。白装束を着て歩く人もいて、こちらは本物の修行僧のよう。ザックまで真っ白な物を使っている徹底ぶりに感心した。

山頂の手前、そそり立つ壁のような階段が登山者のなけなしの体力を奪う。最後の核心を越え頂に立つも、広がるのはガスの世界で下界の展望はない。しかし上空は晴れていて日差しが暑い。そんな居心地の良くない山頂から足早に下山した。

次にこの山に登るのは、下山中に見かけた雷鳥の親子が真っ白な頃にしたい。